【Coloso練習帳】ホ・ソンム chapter 25

ホ・ソンム先生「ダイナミックでスタイリッシュなキャラクターの完成」(全28講 26時間 30分)を購入したので消化していきます。今回はchapter25 演出。coloso規約によりノートは一応モザイクを掛けます。後はあまり詳しく書くとなんか言われそうなので以下メモ書き程度。

絵での演出は鑑賞者の目を引く仕掛けである。緊張や快適さ、不安などの感情を引き出す。キャラクターのどこを真っ先に見るか?顔だろう。つまり核心は顔なのだが、他の部分に視線を誘導させないと、視聴者が絵を隅々まで鑑賞するのは難しい。この章で何を学ぶかというと、視線を誘導することについてである。

視線を誘導する方法。①シルエット。視線を分散させないように目的に合わせてシルエットを変える。例えば三角形のシルエットの内側に複雑な個体が入っていれば、それは三角形と見るだろう。逆に外側が複雑で内側がシンプルだとしたら、複雑なシルエットの情報を解釈して、それからその中のものを認識する。②対比。いろいろな種類があるが、面積対比や明度対比、補色対比など。人間の目は対比が大きい部分を先に捉える。注目を集めさせたい部分には対比を用いると良いだろう。一番効果が大きいのは明度対比だ。キャラクターを書いたあと、頭に視線が向かうようにして、それから胴体や足を見てほしいなら、対比の強弱をつけると良い。それ以外にも、面積を分けることも有効だ。同じ面積が配列されたデザインや構成では注目を集めることは難しい。対比を不規則的に小さいものと大きいものを分けて配列すると視聴者の注目を集めることができる。③交差線。交差線に視線が自然に誘導される。例えばこのキャラクターに交差線が背景として加わると、その部分をみるだろう。④方向線。例えば矢印だだけでも視線が誘導されるだろう。矢印や線で雰囲気を出さなくても、デザイン的なニュアンスを通じて視線を誘導できる。頭から足まで視線を下げたい場合には、シワの線も使おう。それ以外にも、人間の目は本を左から右に読む習慣をもっている。つまり実は絵も最初は左から見ていることが多い。それを利用して視線誘導もできるだろう。

実演。最初のイラスト。視線の方向は頭から始まり、右下に視線が移動している。それからカバンを通じて頭に戻る構造になっている。全体として、キャラクターが四角形に収まるように配置されているのがわかるだろうか。キャラクターを直線的に配置するよりも、少し斜めにすることで視線の構図は直線や水平よりもダイナミックに感じられる。ここに単色の服を着せて頭の髪の毛を明るい色にすることで、暗い服と対比される。更に腕を後頭部にもっていくことで交差線ができている。つまり頭に視線誘導をしているのだ。ボトムのシワを通じて下半身に視線を誘導してる。しかし頭部に視線を集中させすぎてもいけない全体を見てくれないからだ。なので服のジッパーやシワを通じて視線を下に下げつつ、その先に配置したカバンは明るい黄色として、着ている服と明度対比をしている。更に下半身に移動しつつ、影とシワを使ってカバンに視線が流れている。カバンはジッパーとシワなどのニュアンスを使って、また顔の方に視線が戻るようにしている。

2つ目のイラスト。安定的な三角形の構図。これは安定感があり、中央に視線が集まるという特徴がある。反対に、逆三角形は不安や緊張、躍動性を強調できる構図なので覚えておくこと。最初に目に入らせたかった空間はキャラクターの顔と中央の空間。対比の程度に関係なく、この空間自体に視線を配分して対比を演出している。中央部分の頭が目立ち、下に腕が垂直にあるので安定感が強調されている。下の砂漠の流れを右上に向かわせることで視線が左右に分離しないようにしている。更に地平線を首や頭の後ろに配置していることで、まず最初に視聴者はキャラクターの顔を見ることになるだろう。視線が配分されている空間は頭とオートバイの2つだ。下の砂漠の流れと飛行機雲の対比を使って左から右に視線が流れるようになっている。

3つめ。逆三角形に近い構図を使用。立っているだけだが、少し緊張感があり、躍動感があるだろう。人物の左足が視線をとどめている。目がシルエットを認知するように複雑な奥側よりも左足にまず視聴者の興味は湧く。キャラクターの眺める方向、奥のほうが描き込まれている対比。ヘアバンドやキャラクターの表情を使って興味を抱かせる。左足にはロゴが書かれており、そこから地面に向かう。髪も同様。直角に地面に落として、視線が他のところに移動しないようにアウトラインに注意した。線画の場合は明度対比と面積対比を使って興味をキャラクターを演出することもできる。大事なのは視線や対比を使って視聴者が全体的に鑑賞できるように考えることだ。

4つ目。この絵でも最初に頭に視線を向かわせて、下半身に向かうようにしている。全体的な構図も斜めや矢印の構図。更に剣を肩に担がせることで交差線ができているのがわかるだろうか。右腕と左腕をほぼ一直線にすることで、もう一つの交差線ができている。あちこちに複雑な個体があるので、華やかなシルエットではなく、女性の曲線美を使ったようなシルエット。

このように他の作家のイラストを見るときは、その仕掛けを見ると良い。いろんな個体を活用して、視線を誘導、あるいは誘導しないことができる。イラストを描いたあとに、自分のイラストにどのような仕掛けが施されているのかを分析するのも良い。しかし絵を長い時間描いていると、意外と単純な原則を守ることができず、あとから見ると間違いが発覚したり、なんかイマイチ…なことが多い。目をリセットする方法。チェックリストを作って項目を一つずつ振り返って、追加したり消したりすると良い。

今回は残念な例を見てみよう。左と右のイラストの比較。剣を消して腕を下げている。演出に正解はない。どちらが正解なのかではなく、視線がどこに向かわれるのかを比べてみよう。剣を持っていないほうが腕が下がっているので、最初に述べた導線が弱くなっている。もう1枚別のイラスト。左は四角形に収まるようになっており、シルエットと安定感が伝わってくる。右の絵は頭に角がついているが、方向感が脈絡なく上に向かっているので、左で伝わってくるような安定感はない。全体的に小道具が与える雰囲気や、視聴者に伝えたいことを考えながら描こう。

イラストを描くときに大事なこと。①コンセプト②資料収集③サムネイル④ラフスケッチ⑤完成。このような順番で作業をする。そしてこの順番をきちんと守ることが望ましい。最後までたどり着いたとき、①や②が疎かになると取り返しがつかなくなるからだ。

まずどんなキャラクターを描くかを決める。この時間は長く取ったほうが良い。①男性キャラを描くとしたら、それがどんなキャラなのか、職業、武器、性格などマインドマップを通じてキャラクターを具体化させる作業を1つ目の段階で行う。ここではアポカリプスだ。終末の世界観で生き残った戦士や軍人などのサバイバーを描いてみよう。この戦士はどんな武器や技を使うのか。ポーズは?どんなカラーをしている?砂漠や沼、都市などの背景。どんな終末?核戦争?ゾンビ?今回は核戦争が勃発したあとの世界観で描いてみよう。砂漠で生き残った軍人や戦士のようなコンセプトで具体化していく。これが1つ目の段階。②資料の収集。指の形や皮膚の質感、瞳の色、焼けた肌など。これが不足すると完成させたキャラクターの質が低下する。コンセプトを設定したら、それに説得力を持たせなくてはならない。③サムネイル。親指の爪という意味だが、親指の爪ほど小さいものを描くという意味だ。シルエットを細かく描くのではなく予想する段階。この程度のサイズでどのポーズのシルエットにするのかを考える。片腕が突出してたり、頭に帽子を被っていたり、このような全体のシルエットを考える作業がサムネイルだ。この段階を飛ばすと、後にシルエットが単調だとか、複雑だと感じるときに修正が難しくなる。気にいったものを見つけたらラフスケッチに移る。もし色を塗るとしたら、ざっくり色を塗ってみてカラーシート作業(カラーラフ)を行っても良い。どんな色でキャラを描くのか、簡単にテストする。そして白黒でチェックすることも良い。目は明度を一番大きく認知する。明度の配分を考えることも大事だ。

次はこの続きで、どんなことを考えながらイラストを完成させるのかの実演。

2024-08-05|
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