【Coloso練習帳】キムラッキ先生の講座を終えて

キムラッキ先生「人体図形化ドローイング入門(以下ラッキ1と呼ぶ)」全27講 44時間 41分を受講した感想と良かったこと・イマイチだったことを描いてレビューとして総括する。

私は2021年の9月に本格的にイラスト勉強を始めたお絵描き4年目である。最初はyoutubeでお絵かき入門講座の動画を漁り、パルミーで1ヶ月受講、そこから教本を読み漁り、主にダテナオト先生の『解体新書』や『90日画力向上講座』を進めた後、再びパルミー1ヶ月で砂糖ふくろう先生のジェスチャードローイングをやっていた。それから、colosoでソジ1→ソンム1→Mark.J→ラッキ1と受講した。今回は4つ目の講座となる。そのような奴が受講を終えてレビューしている、ということを念頭に置いて読み進めて欲しい。

また僭越ながらレビューさせていただくにあたって、最初に注意点を申し上げたい。この講座のレビューについてであるが、良いところ・悪いところを含めた感想を正直に書かせてもらう。なぜか?自腹で受講したからだ。このレビューは案件記事でもなければ、アフィリエイト記事でもない。私のブログを読んで皆さんが講座を買ったとしても私には1円も入らない。それでも「何をお前偉そうにレビューなんかして」という声が飛んできそうであるが、安くない金をきちんと払って最後まで受講した者としてレビューする権利くらいはあるだろうと申し上げておく。そもそもここは私のブログなのだ。多少の自分語りくらいは許してほしい。

さて、どんな講座にも良いところと悪いところがある。私はレビューするにあたり大事にしているところは、上でも申し上げたが、良かったこと・悪かったことを自分なりの目線でしっかり書くということだ。忖度まみれのYoutubeレビュー案件動画に一体なんの価値があるというのか。はっきりって無い。良かったこと3つ。悪かったことを3つ書く。

良かった点から述べる。1つ目は、人体を描く難易度がぐっと下がったということ。ラッキ1はひたすら人体の練習講座だ。ほとんど一緒に先生とペンを動かし、お手本どおりには描けなかったとしても全身を様々なポーズで描く(描かされた)。しかしそれを完走すると、受講開始時点よりも人体を描くことに対する意識が明らかに変化する。キャラクター1枚絵の全身を描こう、となった時に「えぇ?全身?めんどくさいな、バストアップだけでいいだろうか…?」という気持ちにならなくなる。私は棒人間・お化けからスタートしたから特にその気持がよく分かる。キャラクターの全身を描くことがどれだけ難しいか、そして辛いか。その根底の意識を覆してくれるのがラッキ1のいいところだ。靴の描き方や服の描き方など課題は残るが、まず基本となる人体、素体の描き方を教えてもらえたことでキャラクターの全身を描くことに自信がついた。

2つ目は人体の動きの付け方が分かること。首や肩、そしてつま先に至るまで、人体の基本となる関節の可動域の解説とそして動きの付け方の解説が見事だった。そしてそれを利用した動勢の付け方もわかりやすい。走るポーズとパンチするポーズの応用で大体のポーズは動きをつけられる、という具合だ。残念ながらその全てのポーズを本講座で一緒に描くことはできなかったが(ラッキ先生もあと20講くらい欲しいと言っていた)、その基本部分を教えてもらえたことは大きい。この講座で学ぶラッキ式人体を活用できれば、動きのあるポーズを作ることは難しいことではないだろう。

3つ目は翻訳がしっかりしていたこと。翻訳が丁寧なことは本来当たり前なことであって、良いところに含めるべきではない。しかし私がいままで受講してきた講座(ソジ1,ソンム1、Mark.J)に関しては翻訳が残念だったと言わざるを得ず、それと比較すると非常に丁寧に翻訳されていたので、その点を強調するために良いところとして記載しておきたい。ラッキ1ではほとんど誤訳というものがなく、ごく稀に不自然な日本語、例えば(○エネルギー ×エネルギ)や(○ホイール ×フィール)があった。しかし全体として見た時に、不自然な日本語は1%程度だ。初期の講座という部分もあるのかもしれないが、翻訳はこれくらい丁寧にするのが当たり前であって、最近の講座だと機械翻訳だかなんだか知らないが「頭の後ろにうんこがありまして(Mark.J先生)」などあり得ない文言が入っていることはおかしいのだ。無料の動画なら文句は言わないが、有料の講座で金を払っているのに翻訳ができていないのはおかしい。その観点から書くとラッキ1は翻訳もしっかりされていたし安心して最後まで受講できた。

一方で悪かったこと。まず1つ目は長い時間・気力・根性・体力が要求されることだ。この講座は受講時間が44時間 41分あり、その大半が一緒にお絵かきしましょうというコンセプトだ。しかもラッキ先生からすれば、この講座ですら基本の「き」であって、そこから更に長い時間を掛けてそれぞれのやり方に落とし込む必要がある。辛いし辞めたくなることが何度もあった。スポーツで例えるならば、運動部に入部するや否やひたすら走り込みをやらされる感じだ。走るという行為はすべてのスポーツの基礎部分となっているが、その基礎部分だけを徹底的にやらされて辛かった中学生時代の卓球部の記憶を思い出した。頭の中では基礎的な事こそが大事だと分かっているのだが、それだけを実行していると億劫になってしまいがちになる。話をイラストに戻すと、素体(この講座ではラッキ式人体)だけをひたすら描いていくので、途中で飽きるし一度離れて好きなアニメキャラクターを落書きして気を紛らわしていたこともあった。それだけ長い時間と気力・根性・体力が要求されるのだ。一方で全くペンを動かさないで視聴することもできる。しかし完走した立場からはそんなもの効果はないと断言しておく。この講座はラッキ先生と一緒に自分でペンを動かしてこそ効果があるのだ。例えば料理がうまくなりたかったら料理番組を見ただけで料理がうまくなるだろうか?レシピ通りにやってみて、火加減が思ったよりも強かったとか、ここはこういう風にやったほうが良いとか、実際にやってみないと分からないことはいっぱいある。この講座もそうだ。自分でペンを動かすから効果があるのであって、他人がペンを動かして解説をしているのを見ているだけで絶対に上手くはならない。そんなものは時間の無駄だ。

そんな受講者を見越してか、ラッキ先生はたくさんの励ましの声をかけ続けてくれた。「私も最初は悩みました」「たくさん練習しましょう」「できないからしんどいのだ、それをやるから効果があるのだ」「積極的に脳みそをいじめましょう」など、辛い時にクスッとくるような面白い言葉を動画の中で喋ってくれる。そうして思い知らされたことは、この講座は受講者一人でやるものではなく、動画内のラッキ先生と一緒に進めていく講座だということだ。そこを踏まえてもう一度書く。この講座は、長い時間、気力・根性・体力が要求されるのだ。

2つ目。面白くないこと。先程の卓球部の話の続きだが、なぜ卓球をやりたかったのか?楽しいからだ。卓球が楽しいのであって走り込みが楽しい訳では無いのだ。でもその走り込みが大事ということでひたすら走り込みをさせられるのがこの講座だ。イラストに置き換えてみよう。なぜイラストを描くのか、といったら楽しいからだ。私の場合好きなアニメキャラクターを描くのが楽しいのであって、素体を描いて「うわぁ~超楽しい」とはならない。絶対にならない。つまらない。辛い。でもその卓球部で言う走り込みをしていないと、いざ試合になった時に足が思うように動かないで点を落とすことになる。イラストで言うと、描きたいのに描けない状態になる。だから素体の練習をするのだ。ラッキ1はまさにそんな感じ。万人に愛されるような講座ではないかもしれないが、基礎部分がしっかり鍛えられるので後からじわじわ効いてくる…。そんな講座だ。ひたすら地味だし味気がない。つまらないし、辛い。面白くない。最初から最後までつまらない。それは仕方のないことなのだ。

3つ目。吹き替えが無いこと。最近だとソンム1の吹き替えが出たりしているが、この講座は吹き替えでこそ真髄を発揮する、と私は言いたい。なぜならひたすらドローイングする講座だからだ。画面を見ながら手元でペンを動かすので、字幕を追っている時間なんて殆どない。なので私の場合、まず最初の1周目に字幕だけを追いラッキ先生のドローイングを見ながら要点をメモしていた。そして2周目にひたすらドローイングをしていた。そう、この講座を完走するにあたり、実は既に2周しているのだ…。といってもドローイングしたのは1周分だけなので、実質は1周しかしていないのと同義である。それがもし吹き替えならば、手元を見つつ耳で要点を聞くことができる。とても効率的だし効果があるだろう。もう少し時間も節約できた。個人的な要望としては(もちろんcolosoにも出すが)ラッキ1は吹き替えで受講したい。もし吹き替えで発売されるのならば、今度は2周目を復習がてらそちらの方で受講したい。とてもじゃないけど1周しただけで全て吸収できるような講座ではない。非常にボリュームがあるし字幕だと追うのが辛かった。

以上が良かったこと・悪かったことだ。

そして最後に一つ。この講座の受講レベルは「初級」となっているが、それは言葉通りの意味ではない。やっていることは初級なのだ。卓球部で言う走り込みなのだから。なにか特別なことをやらされている訳ではない。最初から最後までひたすらシンプルにラッキ式人体を描きましょうというのがこの講座である。そういう意味では初心者向けなのだが、果たしてほんとうに初心者向けなのだろうか?

その答えは「初心者向けではない」といえる。なぜならこの講座は非常につまらないからだ。本当の初心者は、そのつまらなさについて来られない。なぜお絵かきをしたいのか?といったら楽しいからだ。好きなアニメキャラクターやゲームキャラを描くのが楽しいのであって、そこには人それぞれの原動力――情熱ともいえる部分が根底にあることだろう。そこに焦点を当てていかないとイラストを描く行為なんて長続きしないだろうというのが私の意見だ。楽しいという気持ちがあってこそイラストは長続きする。そして楽しいという気持ちの中にも悶々としたもの、「人体がうまくなりたい!」というような強い気持ちが自分の中に溢れてきた時にこそ、この講座は意味をなすのだ。

そのような意味において、この講座は初心者向けではない。この講座はいい意味でも悪い意味でも「つまらない」のだ。そのつまらなさについて来られるようになった時、キム・ラッキ先生は微笑んでくれる。

この講座を受講して本当に良かった。服の描き方や手足の描き方・靴の描き方・色の塗り方などまだまだ課題が多い半人前の私だが、ラッキ先生がくれたヒントを糧に次の講座に進み、理想の絵柄を求めていきたい。

以上でキムラッキ先生「人体図形化ドローイング入門」の受講を終了する。

2025-03-05|
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