「デフォルメを活用したカジュアルキャラクターイラスト」を受講した感想や良かったこと・イマイチポイントを書いてレビューとして総括する。
私は2021年の9月に本格的にイラスト勉強を始めたお絵描き3年目の初心者~中級者手前である。最初はyoutubeでお絵かき入門講座の動画を漁り(さいとうなおき先生とディープブリザード先生には世話になった)、パルミーで1ヶ月受講(このときはダテナオト先生とナナホシ先生の講座を見ていた)、そこから教本を読み漁り、主にダテナオト先生の『解体新書』や『90日画力向上講座』を進めた後、再びパルミー1ヶ月で砂糖ふくろう先生のジェスチャードローイングをやっていた。それから、今回初coloso受講という流れである。レベル的にはやっとデフォルメキャラクターの全身を描けるようになってきたところだ。そのような奴が講座を受講してレビューしている、ということを念頭に置いて読み進めて欲しい。
さて、この講座のメインのターゲット層は、初心者~中級者の層に位置する人だろう。上級者には向かない。なぜならこの講座のテーマは「デフォルメとはなにか?」だからだ。そのテーマの下で講座が進んでいくので、デフォルメとはなにか、自分なりの解答が見つけられているであろう上級者には受講する意味がない。逆に、デフォルメがよく分かっていない人には得られるものが大きいだろう。
また、ソジ先生の作品を見ればわかるが、この講座は求める絵柄によっても満足度が違う。具体的にはアニメキャラクター、ゲームキャラクターのようなデフォルメキャラクターが描きたい!という人向けである。逆にいえば、例えばスラムダンクのようなリアルよりのキャラクターや、写実的な絵柄でリアルな人物のイラストを描きたいという人には向いていない。なぜならデフォルメがテーマだからだ。もし自分自身の置かれているレベルや求める画風があっているのならば、この講座は大きなヒントをくれる可能性が高い。
しかし注意すべき点は、初心者でもとりあえず全身のイラストかけるよ、という段階に達していないと、この講座は十分に生かされないという印象を受けることだ。なぜならデフォルメとは、ソジ先生の言葉を借りると「誇張・省略・歪曲」であり、全身が描けないと、どこを誇張・省略・歪曲すればいいか分からないからだ。具体的にはchapter3や4からは全身のデフォルメキャラクターの比率についての話に入るし、chapter5では簡単な解剖学の話に進む。全身をとりあえず描けますという段階に達していないと、この辺で挫折する可能性が高い。もしイラスト入門者で、顔の描き方や頑張ってもバストアップ(顔ー肩まで)しか描けないという人が受講を迷っているのならば、頑張って全身を描けるようになってから受講することを勧める。
具体的な話に入りたい。この講座を受講して良かったことを書く。良かった点3つ。1点目は、まずソジ先生の教え方が上手いことだ。ソジ先生は韓国で講師の仕事をされているそうで、多くの生徒に教えている視点で講義を進めてくれる。話も分かりやすいし、描きながら話を進めてくれるので、講義時間22時間半のうち無駄な時間がほとんど無かった。また、自分自身のスランプの話や、画力が伸び悩んだ時期に悩まされていた時の話など、その問題との向き合い方や具体的な解決方法などを提示してくれた。ただ単にテクニックを教えて「じゃあ後は各々で練習頑張ってくださいね」という講座ではないので、ソジ先生の人柄が垣間見える講座となっている。
2点目。1枚絵を完成させる全ての過程がみられたこと。「どんな絵を描こう?」というアイデアを列挙をするところから始まって、具体的にじゃあこんなキャラクターを描いてみようとイメージが構築され、ラフ→線画→色塗り→修正→仕上げまでの全ての過程が見られる。しかも章ごとに分かれており視聴もしやすい。この講座のメイン部分は、この1枚のイラストを完成させる部分に割かれている。トータルで13-14時間くらいだ。ボリュームも多い。解説も多め。なのでプロのイラストレーターが、頭の中でどのように意識を割いて筆を動かしているのかを見ることが出来る。これは大いに参考になったし、私自身のイラストに対するモチベーション向上にも繋がった。
3点目。色塗りのパートが良かった点。具体的には、色塗りに対する意識が変わったこと。他人の目を引くイラストはどのように描けばよいのか?という疑問から始まって、その答えとして明度対比・色相対比・彩度対比を上げている。何度も書いているが、ソジ先生は乗算レイヤーに頼り切るなという考えの人である。それまで私は乗算レイヤーで適当に影をつけていたので、具体的に彩度や明度、色相を意識していたことが無かった。乗算レイヤーだけでは色相を弄れないし、明度と彩度だけをいじっても、映えるイラストは描けない。色相を意識するきっかけをソジ先生は与えてくれた。勿論乗算レイヤーを否定しているわけではないし、考えも人それぞれなので、目的意識を持って使えたら問題ない。
個人的には、髪の塗り方が大いに参考になった。約1時間にわたって詳細な髪の塗り方が解説されている。私は特に髪の塗り方と服の塗り方が苦手なので、この部分は今後も見返すことになるだろう。
反対にこの講座のイマイチだったところ。こちらも3つ挙げる。まず1つ目は翻訳の粗さだ。これは講座のイマイチなポイントというより、Coloso全体の残念な点でもある。例えば「×通っきますね ◯通ってますね」「×多いあめ ◯多いため」「×このようん ◯このように」など、所々不自然な翻訳が多い。(1箇所レイヤーの説明の所がすごく不自然だったような気がするが….。)これが無料動画なら我慢できるが、しかし有料講座で安くない金を払っているだけに、翻訳は最低限きっちりするべきだろう。レストランで例えるとテーブルと食器がきちんと拭かれていないとかそういうレベルだ。翻訳に関しては、日本人の一人でも雇って、日本語の監査をいれるべきではないだろうか。ただ、ソジ先生はとても有用なことを教えてくれるし、言っている意味はきちんと伝わってくる程度には翻訳されていた。翻訳の粗さによって講師の伝えたいことが伝わってこない程の酷さではない。
2つ目は服の塗り方についての説明が希薄だった点。髪の塗り方とは打って変わって、服の塗り方はさらっと解説するに留めていた。無彩色の服の影の付け方という解説はあったが、カジュアルキャラクターは多くの場合パステルカラーや色が濃い服を着ている場合が多い。私が描いたキャラクターもそうだが、詳細な服の塗り方について解説が欲しかったという気持ちはある。服の模様の入れ方についての解説はあったが、もっと服の影の塗り方としわの描き方、あるいはしわの影をどこに入れたら良いのかなどの解説は無かった。
3つ目はブラシとレイヤー構成についての説明が希薄だった点だ。ソジ先生は1枚絵の制作過程を全て見せてくれるが、どこでどんなブラシを使っているのかは冒頭で解説されただけで、その都度、具体的にあまり踏み込んだ言及は無かった。使用ソフトがphotoshopというのもあるが、ソジ先生はブラシを所々でカスタマイズし、筆の厚さなどを変えながら描いていた。しかしこのときに「このようなブラシを使ってこのような演出をしたい」というような解説があまりなかった。(講座の注意書きとして「photoshopを使用しています」とあるから、予め使用ソフトが異なっている点は分かったうえで講座を購入しているが…。)後は欲を言えば、ブラシの配布が欲しかった。無いにしてもこのようなブラシを使って真似できますと、所々で説明して欲しかった。そこが少々残念ではある。
また、いくら翻訳が入っているとは言っても、それはソジ先生が話す言葉だけにのみ適用されているので、photoshop自体のハングル文字には翻訳は入っていない。そこからブラシやレイヤー構成を紐解くことができなかったことも心残りだ。(翻訳をそこまで求めるのは酷かもしれないが。)
しかし、この講座がデフォルメに焦点を当てているものなので、そこから話の焦点がやや外れている服の塗り方や、ブラシの種類やレイヤーの構成について具体的な言及がされていない事は、さほど問題にはならないだろう。何度も書くがこの講座の一貫したテーマは「デフォルメとは何か?」であり、そこから派生して人の目を引くデフォルメのイラストの描き方に移行する。なのでデフォルメが言わばメインストリートであり、しわの描き方や服の塗り方はそこから外れた脇道の部分に当たる。そこの部分の解説が薄かったのは当然だし、逆に言えば終始徹底して、デフォルメというメインストリートに焦点が当てられた講座に仕上がっていると捉える事もできる。総合的に評価すれば、受講して良かったと思えるような講座だった。
受講した感想はここまで。以下は私個人の課題やこれからどのような講座を受講しようか?という適当な書き散らし。
今回見えてきた私自身の課題は、背景が下手くそ、人体の理解がまだできていない、ポーズの取り方がへたくそ、小物のデッサン力が不足している、髪の塗り方へたくそ、服の塗り方へたくそ、目の描き方下手くそ、しわの描き方へたくそ、金属のぬりかた下手くそ、自分の字汚すぎ、etc…である。色んな課題が改めて見えてきた。当然ながら一度に全てを克服するのは不可能なので、1つずつ攻略することになる。背景に関してはロホ先生の講座が良いという情報を改めて頂いたので、ロホ先生の講座はいずれ受講予定だ。
とりあえず背景は自分でぼちぼち練習するとして…、私が今一番直したい課題は人体デッサン力の不足だ。具体的に言えばポーズの取り方。それがぎこちない。突然だが、私がイラストを描いている最も大きな理由は「推しのキャラクターに好きなポーズを取らせたい」からだ。考えて欲しい、好きなキャラクターが好きなポーズを取っていたら最高ではないだろうか?それだけで尊いし、イラストを描いている原動力になる。しかし、なかなかどうしてそれが出来ない自分に苛ついてしまう時がある。頭の中には既に神絵が完成している。なのにそれを取り出せない。描いていてもどかしいのだ。このような理由から、まず最初に人体デッサン力を鍛えるという課題に向き合っていくことにした。
実は先月のペイバッククーポンセールで講座をこっそり購入した。それはホ・ソンム先生の「ダイナミックでスタイリッシュなキャラクターの完成」(以下ホ・ソンム1)である。それに続く形で同じくホ・ソンム先生「長期的な実力向上のためのイラスト独学ガイド」(以下ホ・ソンム2)をペイバッククーポンを使って購入した。ホ・ソンム1は立体感のある人体を描くことがテーマの講座で、そこから更にポーズの取り方やシワの描き方、小物の描き方に移行する。ホ・ソンム2は1を踏まえて、ドローイングや構図に対しても切り込んでいく形だ。ホ・ソンム先生もソジ先生と同様に5chでの評判も高い。そして私が克服したい課題に沿った講座になっていることから、ホ・ソンム1→ホ・ソンム2と続いて受講することにした。
ホ・ソンム2が終わったときに改めて考えるが、例えばその時点で背景がもっと上手くなりたいという気持ちが強ければロホ先生に行くし、ソジ2の講座が提供されていたらそちらの方に行くかもしれない。あるいは1月にセットで購入したチャン先生ないし解剖学の加藤先生の講座の消化に行くかもしれない。そこは改めてその時の自分の状況を踏まえて判断する。
少し休んで、3月くらいから再開予定だ。
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