バイト先(某スーパー)の奇妙な客その5 仙台四郎

私は現在、某スーパーで品出しのアルバイトをしている。「品出し」とは読んで字のごとく、品を出す、つまり入荷してきた商品を陳列するアルバイトのことだ。今回は、そのバイトを辞めるまでの間に遭遇した面白い出来事について書いてみる。

今回書くのは、私が「仙台四郎」と呼んでいるお客さんのことだ。

その人は30歳くらいである。髪は長い。ボサボサ。身長は160くらい。割と小柄。痩身。そしてとてもタバコ臭い。どんだけヘビースモーカーなんだよ!というくらい臭い。そのせいもあるのだろうか、唇が紫色である。健康体ではないのは明らかだ。

その仙台四郎さんであるが、なぜこう呼んでいるのか。仙台四郎とは、端的に言えば商売の神である。詳しくはググっていただきたいが、私の住む宮城県仙台市では商売繁盛の神様として崇められている。そのお客さんの特筆すべき点は―――あくまで私見であるが―――その姿を見た日は店が混むということだ。

なぜか僕の働いているお店は、お客さんが多い日とそうでもない日があって、その差が激しい。しかし、その仙台四郎さんが来た日は必ずといっていいほど忙しくなる。あまり来店はしないのだが、来た日はほぼ100%混む。お店からすればいいのかもしれないが、レジ打ちバイト風情の私としてはあまり好ましい状況ではない。客なんか来ないほうが良いに決まっている。というようなことを考えてしまう私は小心者だろうか?

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話が逸れてしまったが、この仙台四郎さんはある変わった行動をする。まあ、変わった行動をしているからこそ、こうしてブログに書いているわけであるが。菓子パンを時間をかけて入念に調べるのである。どういうことか。

詳しく説明しよう。前回書いた記事「チョコチップおやじ」では、賞味期限を気にするお客さんが多いことを書いた。故に賞味期限をじっくりと吟味して商品を買っていくお客さんは多い。しかしそうではないのだ。菓子パンを入念に調べているのは、どうやら賞味期限を気にしているようではないようで、パンの状態をひとつひとつじっくりと丁寧に調べている。表面を撫でるように目で観察して、表と裏、包装された菓子パンを一つ一つ丁寧に厳選していく。ちなみに山崎パン「大福みたいなホイップあんぱん」がお気に入りのようである。あとはメロンパンとかチョコチップメロンパン。

しかし、流石に何をやっているのかまでは聞けない。その光景は傍から見れば不気味そのものである。

じっくりと時間をかけて(20分くらい)、厳選するのは大体1個か2個である。普段は全く気にしないが、ここまで厳選されると、商品を取るときに緊張する。この商品は他の商品と何が違うのか。落としたら怒られそうである。丁寧にバーコードを通せばお会計が終了する。

いったいパンの何を調べているのだろうか。その答えは聞いてみないと分からないが、聞く勇気は持ち合わせていない。ひょっとしたら何かのおまじないかもしれない。商売繁盛するようにお客さんを呼び寄せているとか。

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仙台四朗さんが帰ったあと、店はお客さんで溢れかえる。商売繁盛の効果だろうか。ひたすら忙しい。時間の流れが早くなる。業務終了後に、例のお客さんについて、他のバイト仲間に聞いてみた。いったいあの人は何者なんだろうね?と。

「座敷わらし的なやつじゃないっすか」

なるほど。商売繁盛の神と思っているのは僕だけではないようだ。

※後日、彼のコードネームが「ピョン太」であることが判明した。(ぴょんぴょん跳ねるように歩くから、らしい)

2017-08-27|
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