は現在、某スーパーで品出しのアルバイトをしている。「品出し」とは読んで字のごとく、品を出す、つまり入荷してきた商品を陳列するアルバイトのことだ。今回は、そのバイトを辞めるまでの間に遭遇した面白い出来事について書いてみる。
今回はおばちゃんについて書く。
おばちゃん、と聞きいてどう思うだろうか?
おそらく大半の人がこう思うことだろう。年齢は50ー60過ぎ、体型は太っている人が多い。好きなものを食べて、好きなように暮らしている。子育ては終わりかあるいは終盤間際。人生にひと段落ついたようなイメージか。・・・という風に書いていると怒られてしまいそうだが。歯に衣着せぬ物言いで世の中を一刀両断、自分の中に確固たる「信念」を持ち合わせている。そしてその基準は絶対にぶれない。要するに怖いものなしであるということだ。
この世で一番楽しそうに見える人はどんな人か?と言われれば、私は真っ先に「おばちゃん」と答える。だって見るからに人生楽しそうだもの。悪いことをしている人がいれば、叱ってくれる。男子トイレにも入ってくる。いい意味で遠慮という概念がない。旅行をしている人を見ても、なんとおばちゃんの集団の多いことだろうか。そして、みんな人生を謳歌しているように見えるのは僕だけだろうか。
勿論、これは僕が勝手に思っているだけの「おばちゃん」のイメージであって、世の中には色んな人がいるから、このイメージに当てはまらない「おばちゃん」こそ多いというのも承知している。しかし、僕の中の「おばちゃん」をそのまま具現化した人こそが、今回のお客さんなのだ。
*****
そのおばちゃんは年齢50くらいだろうか。身長は150くらい。結構太っている。唇にはギラッギラの赤いリップ。髪はボサボサ。服装はTシャツ、首にはタオルを巻いている。気温が上がるこの季節は、帽子をかぶっていることが多い。細川たかしに似ている。
この人生を謳歌していそうなおばちゃんであるが、買い物が非常に長い。一度お会計を通したかと思うと、「まだ買える」と言い残してまた商品棚のほうに戻っていく。そして買い物をしたかと思うと、「あれ買い忘れてた」といってまた商品棚のほうに戻っていく。自由だ。流石に店内が込んでいる時に何回もこられると、正直イラっとすることもあるのだが、しかし人生を優雅に渡っているように見えるおばちゃんの姿を見ると、そんな気持ちは雲散霧消として消えてしまう。
そんな自由奔放な細川たかし似のおばちゃんであるが、個人的に参っているのことがある。歯に衣着せないマシンガントークである。
「あんた何歳?」「彼女はいるの」「学校は」「大学は」「将来なにになりたいの」等々の質問の数々。大体お会計が終わった後に聞いてくる。しかし、こちらが愛想笑いで回答を誤魔化すとするとまた質問をぶつけてくる。恐ろしいぜ。おばちゃん。
*****
そんなおばちゃん、これまた常連、ほぼ毎日現れる。
流石に顔も覚えられたようで、昼間、外でばったり遭遇したことがある。向こうがこちらに気づいたようで「あんた元気してるの」などと声をかけてくれた。うれしい気持ちと、そっとしておいてほしい気持ちは半分半分である。
まあ好きなんですけどね、こういう人。
という訳でまたお待ちしています。